継代(けいだい;passage)は培養した細胞の一部を新たな容器移して継続して細胞培養を維持することです。
細胞は、培養過程において分裂を繰り返すことで数が増えていきます。次第に増えていく細胞は培養している容器を埋め尽くすか、培地中に含まれている栄養分は増殖した細胞が使い切るため枯渇します。細胞には新しい栄養と増殖するスペースを与える必要があります。細胞を懸濁し新しい容器に移して細胞密度を下げる操作が継代になります。
細胞が増殖し、容器を埋め尽くした状態をコンフルエント(confluent)と呼び、細胞同士が接触することで細胞の増殖スピードの低下及び増殖の停止が起こります。
コンフルエントが続くと細胞が死滅したり、フェノタイプが異なる細胞が発生します。再現性のある実験データを得るにはコンフルエントに達する前の適切なタイミングで継代を行い細胞の状態を一定に保つ必要があります。多くの場合において、細胞の継代はコンフルエントに達する前の、培養面の70~80%を細胞が占めるサブコンフルエントの状態になったタイミングで行われるのが望ましいとされています。
培養細胞は2つのタイプがあります。
1つ目は基質への接着が必要なタイプで通常、接着細胞または付着依存性細胞と呼ばれる。線維芽細胞や上皮細胞などである。
2つ目は付着非依存性または浮遊細胞と呼ばれハイブリドーマや無血清馴化株は浮遊増殖する傾向がある。
接着細胞は容器から剥がす必要があるため、細胞分散液を用いる必要がある。
継代の操作(接着細胞)
- 顕微鏡で観察して細胞密度を確かめ、細菌やカビのコンタミがないことを確認する。
- アスピレーターやピペットを用いて古い培地を取り除きます。
- 培地を完全に取り除くため、Ca、Mg不含生理食塩水やPBSで細胞を洗浄します。前後左右に傾けてタンパク質を希釈しバッファーを取り除きます。
この時に細胞に直接バッファーをかけないように注意が必要です。剥がれやすい細胞の場合、バッファーをかけただけで剥がれてしまうため、細胞数を失う原因になります。 - 細胞を剥がすため、細胞分散液(トリプシン-EDTA)を必要量加えます。前後左右に傾けて全体に行き渡るようにします。
- 37℃のインキュベーターにいれて細胞が剥がれるまで数分待つ。インキュベーターから容器を出して、傾けたり、軽く叩いたりして細胞が剥がれていることを確認する。
- 細胞によってはインキュベーターにいれずに室温で数分待つだけで剥がれるものもあります。
- 新しい培地を加え、血清によりトリプシンを不活性化します。細胞をチューブに移して、遠心を行い細胞を沈殿させます。上清培地を取り除き、新たな培地を加えて再懸濁します。
- 目的の細胞密度になるように適切な希釈率及び細胞数で細胞懸濁液を新しい容器に移します。
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